「ああ、変なもん作っちゃったかもなあ」完成直後の印象であった。黒、紺、ベージュにグレイ、白など、ベーシックでいいのだけれど、言い換えれば地味なアイテムばかりの私のクローゼットに色物をと思って作った、マスタード色のカットソー。圧縮ニット(ウールのニット生地を洗ったりアルカリ溶液につけたりしてぎゅっと縮ませた布)で作って、暖かさも確保だぜうへへへへ。なーんてノリノリで作ったのに、出来上がったものは微妙だ。袖に縫い付けた黒のベルベットリボンがポイントでかわいいはずだったののに、なにやらブルースリーを思わせる配色であったことに完成してようやく気付く。

ボトルネックの襟元、ドロップショルダー、フィッシュテール(前後の裾の長さが異なるデザイン)など、旬の要素のパターンをかき集め製図して作ってみた。それなのになんだろう、このブルースリー感。ブルースリー思いついたらもうそれにしか見えん。私が欲しかったのはオシャレ感なんですけど。やはり袖のベルベットリボンの黒が敗因だろうか。取ってしまえば、普通のマスタード色のカットソーとして活躍してくれるのだろうか。なんだかもうよくわからない。でも、我が子可愛さというか、自作の服はなんでも可愛いと思ってしまうのが洋裁好きの性である。なんだかんだ言いつつ、着てしまいそうな気もする。
いつも、服が完成したら真っ先に見てもらう福岡の友達がいる。彼女たちとのグループLINEに、こんなん作ってしまいました、と恐る恐る送ってみた。
「えー?失敗かなあ?私はとってもかわいいと思うよ。首のところとか裾とか袖とか、形がかわいい!」「逃げ恥のガッキーが着てそうやん!」
そうだった。彼女たちはとても優しいので、人が作ったものにダメ出しすることは全くない。むしろいい所を見つけて褒めてくれるのだった。こんな友人がいるから、ひっそり一人で自分の服を作りつづけるという地味な活動を続けていられるのかもしれない。最初の頃の初心者丸出しの服だって、彼女たちはすごいすごいと褒めてくれた。あ、なんか泣きそうになってきた。
そんなわけで、着ることにした。ちなみに今日はこれを着た。グレーのデニムのワイドパンツに合わせた。やっぱりブルースリーだなあ、とちょっとだけ思う。
この布自体は、滑らかな圧縮ニットで肌触りも良くてツヤもあってとても素敵。これを作ったのは1月だったが、布を生かしきれなかったという不完全燃焼な気持ちが未だ残る。やれやれ。こうしてブログにして、消化することにしよう。