信州の季節の移り変わり、とくに冬から春になって桜が咲く頃は、長くて寒い寒い冬からようやく解放されて暖かい季節に向かっているの実感からか、もしくは生まれた月に近いからか、薄着になって素足で靴を履いて出掛けるだけでふつふつと嬉しさが湧き上がる時期です。
こちらの桜は実家の福岡に比べて咲いている時期が少し長いような気もするのですが、それでも、はらはらと花弁を散らす様子は儚いものです。次男の幼稚園への道すがらには墓地があるのですが、そこをぐるりと取り囲むように植えられた桜の花びらが、風が吹くたびに舞い散って灰色の墓石の上に降り積もる様子は、お墓という場所柄か、なんだか浮世離れして見えて(不謹慎な気もしますがっ)、慌ただしい送迎の時間をいっとき忘れるほどでした。
突然布の話しになりますが、この布を見たとき、「お墓の桜の花びらやん?」と真っ先に思いました。大好きなみずたま。綿ローンだから春夏のワンピースにちょうどいい。かくして布はポチッと購入され、ワンピースは製作されたのでありました。
布が可愛らしいので、ワンピースはシンプルなものにしました。題して「お墓の桜ワンピース」。可笑しいくらいにちっとも可愛くないネーミング。布を購入したのはちょうど桜の頃だったので、このワンピースを作って着て、お墓の前を通ろうと思っていました。ごくごく個人的にひっそりと楽しむべき遊びです。誰にも言わず、ここで密かにつぶやいているくらいでちょうどいい。結局できあがったのは今で、梅雨が開けたらもう夏ですけれど。